日々のつぶやきとか覚書とか
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書きかけをメモ。
「あにうえあにうえ~」 小刻み廊下を踏みならす音を布団で遮ろうとしたところに、甲高い子どもの声。ああ、これはもう夢の中に戻れはしないな、と黒田右衛門佐忠之は眠い目をこすりながら、身体を起こした。 「あにうえ~!!!」 と、同時に障子を開けて、飛んでくる男児一人、忠之の末の弟の万吉、只今数えで五歳、である。 「いてっ!!」 弟に押し倒される格好で忠之はそのまま後方に倒れ込み、後頭部を強く打った。 「こら、万吉! いいかげんにしなさい!」 じんじん痛む頭を撫でつつ、きゃっきゃとじゃれつく末弟を引き剥がしながら、忠之は今さらやって来た次弟犬万に恨めしげな視線を送る。 「まったく朝っぱらから……。俺が昨夜何時に屋敷に戻って来たと思ってる!?」 何とか万吉を隣に座らせて、忠之は欠伸をしながら嫌みに言った。 忠之は、先日他界した徳川家康の見舞いの為に筑前から出てきたのが二月、葬儀を終えて両親とともに江戸屋敷に戻って来たのが昨夜のことであった。 だから、ちょうど一年前から江戸屋敷で暮らしている弟たちと顔を合わせるのも丸一年ぶり、ということになる。そう思えば、犬万も万吉も自分が記憶しているよりも背丈が伸びたように思うし、犬万などとても七つとは思えないほどに生意気さが増している。 万吉が朝から自分に飛びついて来たのは自分を慕って甘えてきたのだろうし、犬万が弟を追いかけてきたのも同じような理由だろう。そう感じたから、忠之は弟たちに癇癪を起こすこともなかった。 PR
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蓬庵様の嫁になりたい。
黒田大河の実現を夢見るオタク歴10年の♀でございます。
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